おひとりさまの老後不安要素は多岐にわたります。元気なうちは自分で全てできることであっても、今後年齢を重ねていけば、できなくなることも増えていくはずです。ところが、そんな場合でも、親族などの手を借りることができないわけですから、不安が増大するのは当然といえば当然の流れです。
しかし、個々の問題を解消することができる機関やサービスは存在するものです。
今回は、おひとりさま老後の不安を解消する機関やサービス一覧といったお話を進めていくことにしましょう。個々にしっかりと把握していただくことで、おひとりさま老後の不安を払拭することができることでしょう。ぜひ参考としていただければと思います。
おひとりさまの老後にある不安
昨今、一人暮らしの高齢者数が増加傾向にあります。中には親族や家族の存在がまったくなく、今後どのように生きていけばよいのかが不安という方も少なくないようです。
また、一人暮らしで身寄りがいない場合、保証人を立てることができないことから、多くの問題に直面することがあります。
たとえば、保証人を立てることができないと、賃貸住宅を借りることができないことがあります。特に高齢者の場合、突然倒れたり死亡した場合、引取先がないことから保証人なしの入居が困難となります。
加齢とともに体力や思考力が大幅に減衰することから、一人で買い物をすることができなくなったりすることもありますし、通帳や印鑑などの管理が不安となることもあります。
入院するにも、保証人の存在は必要となりますし、手術を受けるにしても医療機関が求める医療同意書への記載者が問題となることもあります。
介護が必要となった場合や老人ホームへ入所したくても、各々の手続きを自らできなくなっているかもしれません。
さらには、一人の場合、自分が死亡した以降の心配をする必要もあるかもしれません。たとえば遺体や遺品の引き取りや葬儀や埋葬、納骨に至るまでを頼める相手がいません。また、居室の明け渡しについても、誰も手続きをする人がいないわけですから、安心して永眠することすらできないことになります。
おひとりさま老後の不安を解消する機関やサービス制度
老後を迎えて頼ることができる家族がまったくいない場合、それはそのまま大きな不安となるはずです。
しかしこれを解消することができる機関やサービス、制度についての知識をつけておくことで、不安の一端を解消することができることでしょう。
まだご自分で考え活動できるうちから、これらの機関やサービス、制度についての知識を深めるとともに、実際にそれらに接して、より詳細な情報を把握されておくのも賢い方法といえそうです。
各々において、その働きやサポート分野はことなりますが、これらをうまく活用することができれば、おおよそのおひとりさま老後の不安を解消することができるはずです。
市区町村の地域包括支援センター | 高齢者の心配事全般の相談 |
成人後見制度 | 介護手続き
老人ホーム入所 自宅処分 |
保証会社 | 賃貸住宅保証人 |
見守りサービス | 倒れたときの発見など |
医療コーディネーター | 入院保証人
手術などの医療同意 |
日常生活自立支援事業 | 料金などの支払い代行 通帳や印鑑、証書などを預ける |
死後事務委託契約 | 遺体や遺品引取 葬儀や埋葬 納骨 退去時の居室明け渡し |
市区町村の地域包括支援センターへの相談
地域包括支援センターは、地方自治体などによって設置運営される機関であり、高齢者の暮らしをサポートするための拠点として存在します。
介護や保健、医療などの関係機関と連携しており、社会福祉士やケアマネージャーなどが配置されています。このため、高齢者が生きる上で発生する諸問題について、幅広く相談を受け付けています。
また、高齢者としての権利擁護実現を目的としていることから、高齢者をターゲットとした悪徳商法や詐欺などを防止したり、虐待を防止するなども業務の一環としています。
地域包括支援センターは、すべての市区町村に最低1箇所以上は設置されていることから、もし老後の問題を抱えていらっしゃるのであれば、最寄りのセンターを探して利用されるのも良いかもしれません。当然のこと、無料で相談に乗ってもらうことができます。
成年後見制度による後見人の設定
成年後見制度とは、高齢による思考力低下や認知症の発症などにより判断能力が著しく低下した場合、周囲の人がこの制度を用いることで後見人となり、詐欺や悪徳商法などによる不当な契約から見を守ることができる制度をいいます。
成年後見人制度には、任意後見制度と法定後見制度が存在します。
任意後見制度は、一人暮らしの人など、今後に遭遇しうる判断能力の欠如から見を守るための制度であり、本人がお元気なうちに任意後見人を選定し、公正証書で任意後見契約を締結しておくものです。
一方で法定後見制度とは、本人が既に判断能力が不十分な状態にある場合、申立により家庭裁判所で専任された後見人が本人に変わって財産や権利を守る制度といえます。
よってもしおひとりさま老後としての不安をお持ちであれば、早いうちから後見人をお願いするとともに、任意後見契約を締結しておくと良いかもしれません。
なお、後見人は、本人に変わって介護手続きや老人ホームの入所、自宅処分などを行うことも可能であることから、これらの不安を払拭することができるはずです。
しかしその一方で、財産や自己の処遇の一切を委任するわけですから、しっかりとした信頼できる人を後見人として選定する必要があります。
保証会社による保証人代行
老後において、何らかの事情により新たに賃貸住宅を借りる必要が生じた場合に問題となるのが、賃貸住宅保証人の存在です。大家とすれば、高齢者に住宅を貸す場合、突然倒れられたり死亡した場合の対応が気になるところではあります。
保証人がいれば、その人間に対して連絡をすることで対応してもらうことができますが、その保証人の存在がいない場合、対応ができないことになります。このため、保証人を立てることができないと、賃貸住宅に住むことさえできないことにもなりかねません。
実際、一人暮らしの高齢者で、かつ賃貸住宅にお住まいの方の多くは、保証人の存在がないことに大きな不安を抱えられている方も少なくないわけです。
このような問題を解消するには、保証会社を用いる方法があります。
保証会社は、連帯保証人を受けるサービス提供会社であり、仮にや賃貸滞納などが合った場合、入居者に変わって家賃を立て替えるなどの機能を担いますが、保証内容の内訳は保証商品などによっても異なります。
なお、保証会社のサービスを受けるためには、保証会社が設定する保証料を支払うことになります。保証料は会社によっても異なりますが、おおよそ家賃の20%から100%を初回保証料として契約時に支払うことになるはずです。
また、保証料は一般的に毎年発生する場合もありますし、契約更新時に発生するものもあるようです。これらを用いることで、連帯保証人の存在がなくても賃貸物件を借りることができる場合もあるわけです。
高齢者見守りサービス
おひとりさまとして、高齢者の一人暮らしの場合、気にかかるのは突然倒れたときにどうすることもできなかったり、加齢ともに思考力が低下し、困ったこと増えたとしても相談する相手がいないといったことも考えられます。
最近では、このような問題に対応し、警備会社などが高齢者見守りサービスの提供を始めています。
サービスを受けると、室内にセンサーが設置され、一定時間動きがない場合にセンター側に通知をして、担当者が駆けつけたり、ペンダントを握るだけで救急通報を自動で行うサービスなどを受けることができます。
高齢者見守りサービスは、提供法人によってもことなりますが、おおよそ月5000円程度で受けることができます。
日常生活自立支援事業
日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者などの中で判断能力が不十分な人が自立した生活を送ることを目的として、社会福祉協議会が、福祉サービスの利用援助を行うものです。
仮に一人暮らしの高齢者であり、日常生活に支障が生じ始めたり、預貯金の出し入れ、公共料金の支払いなどに問題が生じ始めた場合、最寄りの社会福祉協議会に相談をすることで、これらを代行してもらうことが可能となります。
サービスを受ける場合、社会福祉協議会の専門員や生活支援員が派遣され、生活援助を行うことになります。
料金などの支払い代行以外、通帳や印鑑、少々などを預けることも可能となります。このため、思考能力の低下などにより、ミスが度々発生するようであれば、最寄りの社会福祉協議会に相談することで、不安を解消することができることでしょう。
死後事務委託契約の利用
おひとりさま老後の場合、日々の生活のみならず死後における各種手続きなどにも不安が膨らむものです。
たとえば、遺体や遺品の引き取り、葬儀や埋葬、納骨、賃貸物件退去時の居室明け渡しなど、家族がいれば心配はありませんが、一人の場合、自分が死んだら誰がこれらを行ってくれるのだろうかと不安は膨らむものです。
このような不安を解消するためには、事前に死後事務委託契約を結んでおくことも選択肢となります。死後事務委託契約とは、文字通り死後における事務手続きを委託する契約であり、以前にこれらの作業を依頼することができる契約であるわけです。
このため、死後事務委託契約は、信頼の置ける人を選定する必要があるわけですが、誰もいない場合には、司法書士や行政書士などとの間で契約する場合もあるようです。
また、昨今ではおひとり様向けサービスの一環として死後事務委託契約を受ける場合もあるようです。
なお、本契約の委託費用としては、対応サービスによって異なるものの、書類作成から委託業務遂行料などを含めて100万円前後の費用がかかるようです。また、葬儀を出す場合には、それらの実質的なコストも発生することから、ある程度まとまったお金が必要となります。
まとめ
一人暮らしで迎える老後では、様々な不安を抱えることになります。年齢とともに体力や思考力が衰えを感じるようになるものの、頼るべき家族がいないのは、寂しさもあり悲痛な状況といえます。
しかしながら、これらの不安の多くを解消するための機関やサービス、制度については、これまでの説明からもおわかりのように、多岐にわたって存在します。
このため、事前にしっかりと知識をお持ちいただくとともに、あらかじめ可能な手続きを前倒しに行ったり、どのような状況になったなら、何を行うかといったスケジュールをあらかじめ考えておくことで、不安をひとつひとつ解消することは可能となるはずです。
よって、おひとりさまだからとそれが絶望にかわるわけではなく、末永い健康寿命を手にするとともに、いつまでもお元気に、第二の人生を謳歌してただければと思います。
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