午前中にカフェに行くと、定年退職をされたであろう方々をよく目にするものです。有り余る時間の中で、ゆったりとコーヒーを楽しむのは、現役世代の人々からすれば羨ましい光景であるわけですが、よくよく見てみると、意外にもやることがなくただ一人で席に座られていらっしゃる方も少なくないことに気づくものです。
そこで今回は、シニア向けのカフェの有効活用術についてお話を進めていくことにしましょう。
カフェで過ごす時間のメリット
第二の人生におけるカフェの有効活用術を極めていくためには、カフェで過ごす時間自体のメリットについて知っておく必要がありそうです。さて、カフェで過ごす時間は、どのようなメリットを享受することができるのでしょうか。
ざっと考えだただけでも以下のようなメリットを挙げることができます。またこれは人それぞれ、さらに多くの項目を挙げられることでしょう。
・日常からの一時的脱却や気分転換
・各種雑誌や新聞を無料で読める
・適度な他者の視線を浴びる
・時間は限定されるものの仕事ができる
・自宅とは異なる制限付きの環境
・コスト的に安価での利用ができる
一人だけの時間を手軽に作れる
これについては改めて説明する必要はないかもしれません。現在、日本にはおよそ7万件程度のカフェが存在するようです。よってお近くにも様々なカフェを目にすることでしょう。これらのどこを利用したとしても、その瞬間から一人だけの時間を手軽に作ることができることになります。
よってこの時間をどのように使うかということになるわけですが、これについては後半において説明を進めていくことにしましょう。
日常からの一時的脱却や気分転換
カフェはおおよそインテリアにこだわる店舗が多く、快適な空間を演出しているものです。このため、ひとたび店内に入るなら、そこには非日常空間が広がります。
独特な珈琲の香りは、おおよそ気分を癒やしてくれることにもなります。カフェによっては適度なBGMが快適な時間を提供してくれるかもしれません。
各種雑誌や新聞を無料で読める
最近のカフェには、各種新聞や雑誌類が置かれており、これらのすべてを無料で読むことができます。
カフェを利用するには、当然のこと飲食の料金が必要となりますが、一方で新聞紙面や雑誌類を一通り読むことができるわけですから、単に珈琲代金を支払って珈琲を飲む、快適な空間を得られるという以外にも、得るべきリターンはあるわけです。
他者の適度な視線を浴びる
たとえば一人で過ごす時間でも、自宅にいるときとカフェに居るときでは、自ずと自己の態度は変わるはずです。なぜならカフェは公の場であることから、必ず人の視線があり、それを意識する必要があるからです。
これはデメリットに感じられる方も多いかもしれません。自宅では誰の目を気にすることなく、過ごすことが出来るので、リラックスはできそうです。しかし他者の視線を適度に浴びることのメリットもあることに気づかれるでしょうか。他者の視線があれば、それはつまりある種の緊張感を形成することになります。
そしてその緊張感をうまく活用することで、カフェで行う作業の効率化を図ることもできるのです。
効率的に仕事を進めることができる
先の「他者の適度な視線を浴びる」を活用することで、たとえばカフェに仕事を持ち込む場合、適度な緊張感を維持したまま効率的に仕事ができるものです。
実際に、カフェに足を運んでいただければご理解いただけるはずでが、昨今では多くの人々がカフェにノートPCなどを持ち込んで作業をされているものです。
彼らは、作業場所が別にないというわけではなく、気分転換を図りながらも、適度な緊張感の中で、効率的に作業を進めることを目的として、カフェを利用しているといえます。
自宅とは異なる制限付きの環境
自宅にいれば生活に必要なものは何でも手の届くところにあるものです。しかしながらこれが無意味な時間の浪費を生じさせる要因にもなっています。
たとえば、ソファーに横になれば、そこにはリモコンがあり、そのリモコンを手にとってテレビのスイッチをいれれば、以降は番組がエンドレスで流れます。これになんとなく観るだけで一日が終わることさえあるわけです。
ところが、カフェにおいてこのようなことはできませんよね。カフェにおいて作り出される一人の時間は、自宅とは異なる制限付きの環境であるわけです。
これを逆にメリットとして捉えるならば、その制限の中でできることを持ち込むことで、他に意識を阻害されずに、一人の時間を効果的に使うことができることにもなるわけです。
コスト的に安価での利用ができる
カフェにおけるコストは、飲み物だけであればおおよそワンコインで事が足りるはずです。これを高いと捉えるか安いと捉えるかは人それぞれであるわけですが、仮に何らかの目的を持って用いるとするならば、意外に安価での利用ができることに気づかれるはずです。
たとえば1日4時間程度、一ヶ月15日をカフェで過ごして、第二の人生における何らかの作業をされたとします。1日あたりワンコイン、つまり500円としてもその総計は7,500円で済むことになります。
一ヶ月あたり60時間の何らかの作業を行うことのできて、しかも冷暖房完備で飲み物までついた快適空間を、この程度のコストで手に入れることができると考えるならば、むしろこの金額は安価であることに気づかれるはずです。
第二の人生におけるカフェの有効活用術
これまでカフェで過ごす時間のメリットについて見てきました。これらはありきたりの事であったかもしれません。一方で見方を変えることで意外なメリットを得られることに気づかれたかもしれません。
そこでこれらのメリットをフル活用して、第二の人生におけるカフェの有効活用術について考えを進めていくことにしましょう。
各種新聞紙面を比較して真実をあぶり出す
昨今ではテレビや新聞の偏向報道が問題となっています。このため一紙新聞に情報を依存していると、その新聞の意向に沿った情報のみに影響するリスクがあります。これについては、カフェを活用することである程度払拭することができます。
というのも、カフェの多くには各種新聞が用意されているため、たとえば一つの報道についてあらゆる新聞で比較することができるからです。
この作業を日々行っていると、新聞社毎の意思を認識することができます。中には、同じことに関する記事であっても、新聞によってまったく反対の印象を受けるものもあります。
一般には、複数の新聞を読み比べる機会はあまりないでしょうから、この作業を丹念に行う機会は意外に貴重なもとなるはずです。また、複数の新聞記事に目を通すことで、報道の向う側にある真実を推測することが可能となるわけです。
単なる暇つぶしとは異なる次元の時の過ごし方を、カフェでは実現できることに気づかれるでしょうか。
対象世代の異なる雑誌で見識を広げる
カフェによって異なりますが、中には幅広い世代の情報誌や雑誌が置かれているところもあります。
自分の年代や興味対象以外の雑誌には、おおよそ触れる機会はないものですが、カフェであればこれらに無料で接することができます。たとえば若者のファッション雑誌や主婦をターゲットとした情報誌などもあるので、これらを読み進めることで、自分とは全く異なる情報や物事の見方を得ることもできることでしょう。
見識を広げることをひとつとってみても、対象世代の異なる雑誌に目を通すことで、小さくまとまりがちな意識を、逆に拡大することが可能となるはずです。
ノートPCとモバイル環境を持ち出す
カフェにおいては、ノートPCと睨めっこをしている人を多く目にするものです。最近ではPC一台あれば、それだけで出来ることを大幅に広げることが可能となるからです。
ノートPCなどを用意するとともに、これを外出先でもインターネットに接続するモバイル環境を持つことで、カフェにおいてPCを活用することが可能となります。
モバイル環境については、スマートフォンをお使いであれば、テザリング機能を用いることでノートPCをインターネットに接続することが可能です。テザリング機能は、スマートフォンをWi-Fiルータとすることができるものであり、これを介してノートPCをインターネットに接続することが可能となるわけです。
また、スマートフォンをお持ちでない場合には、モバイルルータをレンタルするという方法もあります。さらには、最近のカフェの中には無料Wi-Fiのアクセスポイントを提供しているところも増えてきているので、あらかじめ調べておき、そのカフェに通うという手もあります。
ブログ発信でお小遣い稼ぎを行う
第二の人生であるわけですから、人によっては時間はたっぷりとあるはずです。先のノートPCとモバイル環境があれば、カフェにおいてブログ記事を執筆することも、それをブログ側にアップロードして公開することもできます。
ブログの場合、多くのユーザのアクセスを得ることができれば、広告収入などによってお小遣い稼ぎを行うことも可能です。
ブログを開設したからと、すぐにユーザがあつまったりそれによって収益が上がるほどに簡単なものではありませんが、時間をかけて記事を増やしていくことで、徐々にユーザが増えていくものです。
このため、カフェに通ってはブログ記事を執筆してアップすることをルーチンワークとすることで、その変化を実感することも可能となることでしょう。なお、フログによっては同世代とのコミュニティを広げることができる場合もあります。
自らのルーチンワークが、波紋となって徐々に広がることを実感するのは、とても楽しいものでもあります。

クラウドソーシングで収益を得る
クラウドソーシングの存在をご存知でしょうか。クラウドソーシングとは、発注者がネットを介して不特定多数の人に対して仕事を依頼する雇用形態のひとつといえます。
昨今では複数のクラウドソーシングサイトが立ち上がっており、誰もが手軽にこれらの仕事を受注することが出来るようになってきています。
作業内容も多岐にわたりますが、その多くは場所を選ぶことなく受注から納品までを行うことができます。
たとえば、ある経験を2000字程度の原稿にまとめるといった類の仕事も多数あります。そしてこれらはPC一台あれば作業できる業務であり、よってこれをカフェで進めるといったことができるわけです。
カフェで過ごすことが仕事になるわけですから、時間の使い方の意味も変わります。つまりカフェはひとときオフィスとして機能することになるからです。

小説の執筆をカフェで進める
第二の人生において、小説を執筆するという方も少なからずいらっしゃるものです。カフェで過ごす数時間において、日々執筆を進めるというのも豊かなカフェの使い方と言えるかもしれません。
原稿の執筆は、ノートPCがあれば場所を選ばず進めることができます。また、ノートPCがなかったとしても、原稿用紙に書き進めることもできます。さらには構想をノートにまとめることもできるわけです。
あたかも作家のような時間の過ごし方をカフェでされるのも、なかなかお洒落なのではないでしょうか。
一冊のノートとペンで無限大に発想を拡大
ノートPCを持っていなくても、一冊のノートとペンをカフェに持ち込めば、無限大に発想を拡大することも可能です。これにはいくつかの発想法についての知識をつけておくとよいでしょう。
発想法には、KJ法を始めとしてマインドマップ、PIM法、SCAMPER法、シックスハット法、オズボーンのチェックリストなど様々な手法があります。これらについては、別の記事にまとめます。
発想法を用いることで、頭の中にあるものをうまく結びつけ、これまでになかったまったく新たな発想を生み出すことも可能となります。一冊のノートの中に展開される無限大の発想を、ぜひカフェで拡大させていただければと思います。
定期的に友人知人と語る場を作る
これについてはもっともオーソドックスなカフェの使い方なので、あえて説明を加える必要はないかもしれません。カフェで定期的に友人知人と語る場を作ることで、孤立しがちな生活を回避することが可能となります。
また、同年代との語らいはとても楽しいものであり、また、同世代に不可欠な情報を得られる場となることもあります。
カフェであればコスト的な負担も最小限で済ませることができる上、多少の盛り上がりにも許容される環境と言えます。あまり大騒ぎというわけにもいきませんが、定例会などで楽しく語らう場としてカフェを活用するのも有効な方法のひとつといえそうです。
たまには妻とともにランチを楽しむ
定年後において、夫が常に家にいる環境は、妻に負担をかけるものです。おおよその場合妻が家事を負担しているわけですから、夫がフルタイム家にいると、気を抜く時間帯がなくなるからです。
よって、たまには奥さんを連れ出して、カフェでともにランチを楽しまれるのも良いかもしれません。
「妻との外出の機会はなかなかない」という方であれば、ランチに誘ってカフェへと行くのも効果的な方法なので、ぜひ一度試していただければと思います。
まとめ
第二の人生におけるカフェの有効活用術についてご紹介してまいりました。また、これらをご覧になられて、ひとつの傾向に気が付かれましたでしょうか。
実は今回ご紹介したカフェの効果的な使い方においては、何もしない、もしくは何かを得て時間を消費するというよりも、むしろ何かを発想したり、アウトプットすることに重きを置いてご紹介したつもりです。
というのも、多くの人は、何らかのインプットを得るものの、それをアウトプットする機会が意外に少なく、単に記憶に留めてしまう傾向にあるからです。
シニアの場合、少なからず思考力は低下していくものです。このような減衰を回避するためには、得た知識を何らかの形でアウトプットすることが効果的だといわれています。得たものは、実際に使ってみて初めて自分のものとなるからです。
よってこれまでとは異なる、アウトプット側にシフトしたカフェの使い方を実践していただくことで、生き甲斐ややりがいを失うことなく、第二の人生を歩むことが可能となるものと考えています。
そしてこれは、カフェで作業をするシニアの筆者からのお誘いでもあるわけです。
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