昨今では退職金が減らされ、年金額さえも下落傾向にあります。また、受給年齢が後ろにずれてきており、今後は65歳からとなるのみならず、これが68歳へと移行する可能性さえ示唆されています。
そんな現在において、定年退職をされ、ささやかながら夫婦二人、年金でなんとか凌いでいくことができるといった方は、現在においてはむしろ勝ち組に属する方々であるかもしれません。
このような境遇にあられる方は、定年退職後には趣味でも楽しみながらのんびりと日々の生活を楽しまれたいといった方も多いものです。
ところが、フルタイム自由時間となると、半年から1年程度で飽きてしまう方も少なくありません。社会との接点が絶たれた孤立感や、自己の存在意義などについてを考えられる方が増えることになるわけです。
そこで「仕事でもしようか」ということになるわけですが、シニアの仕事はなかなかなく、面接に赴いたとしても不採用となることが少なくないのが実情です。
シニア世代において、生きがいを持って輝いた生活を送るためには、適度な仕事を生活の中に取り入れることが好ましいと言えます。日々の生活の中に適度な義務的時間を組み込むことで、他の自由な時間が、現役世代の週末と同様に輝くものだからです。そしてこのような適度な仕事を探すために利用したい機関がシルバー人材センターということになります。
シルバー人材センター
シルバー人材センターとは
シルバー人材センターとは、高年齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献する組織です。基本的に都道府県知事の指定を受けた社団法人であり、原則として市区町村単位に設置されています。
シルバー人材センターの趣旨
シルバー人材センターは、生活のために仕事を得る場というよりは、むしろ生きがいを得るための就業を目的としていることから、フルタイムの仕事を得てしっかりと働くと言ったニーズには適合しないと言えます。
一方、健康のために働きたい、地域社会に貢献したい、お小遣い程度を適度な労働で得たいといった目的において仕事を探したいといった目的に対応する機関と言えそうです。
シルバー人材センターの利用
シルバー人材センターで適度な仕事を得たいという場合には、シルバー人材センターの会員として入会し、承認を得る必要があります。また、市区町村によっても異なりますが年額600円から3千円程度の会費が必要となります。
シルバー人材センター入会の条件
シルバー人材センターは、60歳になる年の年度始まりから利用することが可能です。たとえば今年60歳になられる方の場合、今年4月の年度始まりから入会資格を得ることになるわけです。
また、申込み要件として、健康な方、働く意欲のある方、シルバー人材センターの理念に賛同できる方という条件が付帯されている場合があるようです。というのも、シルバー人材センターは、市区町村毎に設置され、独立運営がなされているため、各々で若干の差異が生じる場合もあるためです。
シルバー人材センター入会までの流れ
シルバー人材センターに入会するためには、定期的に開催される入会説明会に出席する必要があります。説明会において説明を受けるとともに、その場で入会手続きを行います。
入会する場合には、入会申し込み書に記入するとともに、顔写真を添付する必要があります。また、確認書と、給与振込用の預金口座振替依頼書の提出が必要となります。
さらには、年会費を収める必要があります。年会費は地域によっても開きがあり、年間600円から3000円程度となります。年会費は初回は現金での支払い、次年度以降は給与振込口座からの引き落としがなされます。
申込みにおいて、センター側の承認を受けると、登録がなされ、仕事を得ることができるようになります。
シルバー人材センターが仕事を得る仕組み
シルバー人材センターでは、発注企業から仕事の依頼を受け、契約することで仕事を得ています。得た仕事は月1程度に発行されるリストとして会員に通知されます。リスト内に就業したい仕事があった場合、その仕事に応募します。
センター側がその都度選任した会員が就業をする結果として、発注企業はシルバー人材センターに料金を支払います。シルバー人材センターでは、この中から配分金として給与を会員に支払うという流れです。
シルバー人材センターで得られる仕事
シルバー会員の就業形態
シルバー会員の就業は、概ね10日以内の臨時的かつ短期的な就業、または1週間当たり概ね20時間を超えない軽易な業務とされています。このため、発注企業からの依頼が長期わたるものであっても、それを会員が専有することはできず、複数の会員によるローテーション就業がなされることになります。
おおよそは請負契約としての就労となる
シルバー人材センターを介した就労とは、おおよそが請負契約という形になります。つまり雇用契約ではなく、よって労働基準法の適用外となります。
このため、中には最低時給を下回る仕事も存在することから、仕事を得る際にはこの点の確認は必要となることでしょう。
なお、シルバー人材センターを介した仕事の中には、派遣の仕事も少なからず存在します。派遣事業の場合は、雇用関係が発生することから、別途派遣による就労の手続きが必要となります。
シルバー人材センターの仕事の時給
シルバー人材センターを介した仕事は、先にも触れたように請負である場合が少なくありません。また、シルバーを対象とした軽易な仕事が中心となることから、時給はおおよそその地域の最低時給に近いものとなります。
このため、生きがいなどを目的としていたり、適度な仕事の中でお小遣い程度を得ることができればそれで良いと言ったニーズに適合する仕事と言えそうです。
一方、まとまった給与を毎月得る必要がある場合には、シルバー人材センターよりもむしろハローワークにおいて仕事を探すことで、可能性として、希望の仕事を得られることが多いといえます。
シルバー人材センターで得られる仕事の種類
シルバー人材センターで得られる仕事は、地域によっても異なりますが、様々なものがあります。これについては、別記事でご紹介しているので、そちらを参照いただければと思います。以下のリンクから参照することができます。
シルバー人材センターの活用法
日々の時間の中に「義務」を組み込む
冒頭でも触れていますが、年金生活となられた以降、フルタイムを自由に過ごすことができるものです。これは現役世代において多忙を極めた方からすれば、夢のような日々のように思えるものです。
しかし自由な時間のみが永遠と続く場合、次第にやることがなくなり、輝くはずだった日々の生活を退屈なものとのして感じる方も少なくありません。また、退屈な日々の中では、生きがいが見いだせなかったり、自らの存在意義さえにも疑問を呈する人がいらっしゃるようです。
このような状況に陥られた場合には、シルバー人材センターを活用して軽易な仕事を得ることで、日々の中に短時間でも良いので「義務」としての時間を組み込むことで、自由な時間の希少性を再認識することが可能となる場合が少なくありません。
シルバー人材センターに寄せられる仕事は、あくまでもシニアを前提とした仕事であるわけですから、生活に十分な収入を得にくい一方で、軽易な適度な仕事を得やすいといったメリットはあるものです。
よってこれらのメリットを得る目的とするならば、シルバー人材センターの活用は十分に価値のあることかと思います。
知らなかった他業種を経験する
地域によっても異なりますが、シルバー人材センターには様々な仕事の依頼がなされています。このため、これまでひとつの業態や業種でしか働いた経験がなかったという方が、様々な仕事に触れる機会を得るという側面においても、シルバー人材センターは活用可能となります。
ダブルワークとしての仕事を得る
シニア世代においても、生活費をしっかりと得る必要がある方の場合、先にも触れているように、ハローワークにおいて仕事を探すことも視野に入れる必要がありそうです。しかしながら、ハローワークでも、シニアの場合、フルタイムの仕事はなかなか得られないのが実情と言えます。
このため、ハローワークでパートの仕事を探して収入を得るのと同時に、それを補完する形でシルバー人材センターから通知される仕事にも目を通し、スケジュール的に取ることのできる仕事に応募しておくことで、収入を上げることは可能となります。
シニア以降の仕事の場合、おおよそは低賃金となりますが、複数の仕事を組み合わせることは比較的容易です。各々の労働時間が短かかったとしても、複数の仕事を自らが管理し、日々の中に組み込むことができれば、それがまとまった収入となる場合が少なくないからです。
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