巷では収納術が注目を集めているようです。狭いスペースに、如何にして収納スペースを確保するかといった手法であるわけですが、もしこれをお読みのあなたが、すでにミドル世代以降の方であるのなら、収納術よりもむしろ断捨離術を身につけることをお勧めしたく思います。
終活を考慮した場合、収納術よりもむしろ断捨離術にこそ、今後の生活を豊かにするための効果が隠されているからです。
収納術が好ましくない理由
収納術を駆使することで、家の中の収納スペースを拡大することが可能となるはずです。このため、一見して収納術は、豊かなライフスタイル実現に有効な手法と思えるものです。
しかし収納術を駆使したところで、豊かな生活を手にすることは難しいと言えます。また、ミドル以降の方の場合、収納術はさらに問題を悪化させてしまうこともあるので注意が必要となります。
「収納術で問題悪化?」
理解に苦しまれるでしょうか。ということで、お話をさらに進めていくことにしましょう。
収納術が問題の解決にならない理由
さて、そもそも収納術とはなんでしょうか。これについては冒頭でも触れている通り、限りあるスペースを駆使することで、収納スペースを新たに作り出す手法と言えます。
「何にも問題はなさそうじゃない?」
いえいえ。大きな問題があります。限りあるスペースの中に、さらに緻密な収納スペースを作り出した理由とはなんでしょうか。
「は?そりゃモノを収納するためでしょ?何いってるの?」
となるわけです。でも、なぜ新たにモノを収納するスペースが必要なんでしょうか。
「もったいない」とすべてを抱え込む
収納術を駆使しようと考える方の多くは「もったいない」と、すべてを抱え込む傾向にあるものです。たとえ不要になったものであっても、捨てることはせず、いつか使うかもしれないからと、ところ狭しと貯め込む癖があります。
「いつか利用できるときにあれば、お金もかからないしお得でしょ?」
本当でしょうか。おおよそは、まったく手を付けることなくホコリにまみれることにはなっていませんでしょうか。
「もったいない」から生じる膨大なコスト
収納術を駆使するわけですから、多分は家の中はモノで溢れかえっているはずです。おおよそ収納スペースにはモノがいっぱいに詰め込まれていて、置き場に苦労されているわけです。
そんな状態であるにもかかわらず、さらにモノを購入し、無理に作り出したスペースに詰め込もうとされています。それには、購入費用もかかることでしょう。しかも現在詰め込まれたモノを購入する際にもお金がかかっています。
モノの収納スペース自体にも大変高いコストが発生しているはずです。たとえば、持ち家でありその購入価格が5千万円だったとします。また、家の中をざっと見渡すと、全スペースのおよそ半分程度が、何らかの荷物で埋め尽くされていたとしましょう。さて、このコストは2,500万円ということになります。
もし仮に、その荷物がなくても良いのであれば、あなたは半分のコストで生活ができたかもしれません。2,500万円というコストのために、あなたはどの程度の労働を余儀なくされていたでしょうか。
にもかかわらず、さらにモノを増やすおつもりでしょうか。
断捨離へと発想を切り替える
では次に断捨離について考えを進めていくことにしましょう。断捨離に関しては、流行語にもなった程なので、おおよそご存知であるはずです。
断捨離とは
断捨離とは、断行、捨行、離行という3つの行いによって構成される思想であり、不要なものを減らすことで生活に調和をもたらそうとするものです。
断捨離においては、断行で今後不要なものの一切を断ち、捨行で現在所有するものの中で不要なものの一切を捨て、そして離行で物への執着から離れることを目指します。つまり、今所有するものをできうる限り手放すとともに、以降、最低限必要なもの以外には一切手を出さないことの実現こそが、断捨離ということになります。
断捨離のメリットは人生に及ぶ
さて断捨離は、収納術とはアプローチ方法が全く異なることに気づかれるでしょうか。
アプローチは全く異なるものの、収納術を駆使しなくとも、今後、あなたの居住スペースは急速に開放されていくはずです。
また、家の中には必要にして最小限度のものしかありません。居住スペースはより快適なものとなり、必要なもは探さずしてもすぐに手にして使うことができるはずです。しかも、月々の支出額は、大幅に削減されていくことになります。なぜなら今後、あなたは生きるために不可欠なもの以外の購入はしなくなるはずだからです。
終活に向けた断捨離
ミドル世代において、まだ子育ての段階にあるのであれば、家の中にモノが溢れるのも致し方ないことだといえます。子どもたちは、新たなモノとの接点においても、様々なことを学ぶことになるからです。
しかし子供が成人して独立をした以降は、ご夫婦でささやかに生活を維持できればよく、そこには多大なモノの存在は不要となるものです。
この際にも家には多くのモノがあるかもしれません。しかしその多くは、きっと以降触れることのないものであり、単に居住スペースを専有するゴミであることが少なくありません。
老人ホームに持っていける私物の量
シニアになり、健康寿命に達した以降、多くの方は老人ホームに入所することになるかもしれません。昨今は子供に迷惑を掛けたくないという方も増えていますから、そんなプランをお持ちの方も少なくないことでしょう。
さて、では老人ホームに持っていける私物の総量をご存知でしょうか。実はこれには限りがあり、おおよそ小さなチェスト1つ分であることが少なくないのです。
よって、現在抱えるモノのほとんどは、その際にゴミとなり廃棄する必要性に迫られることになります。
私たちはモノを抱えてあの世へは行けない
また、老人ホームへの入所がプランになかったとしても、最期を迎える際、家の中に満載されるモノを持ってあの世へと旅立つことはできません。
であるのなら、むしろミドル以降、お子さんが独立した段階において、徹底した断捨離を開始し、以降はできうる限り、居住スペースを広げた快適な生活へとシフトするほうが、合理的なライフスタイルを獲得できるようには、思われませんでしょうか。
まとめ
ミドル以降においては、収納術よりもむしろ断捨離術が有効となるというお話を進めてまいりました。「それでもやっぱり捨てられない」と思われるのであれば、断捨離を勧めるためのひとつのコツについて最後にお話することにしましょう。
あなたは今日から1週間、家の中で使ったもの、手にしたものについて、できる限りで良いので、ノートやメモ帳に記録をしていただきたく思います。
すると、毎日使うもの、毎日ではないものの使うもののリストを1週間で作成することができるはずです。
季節で使うもの着るものなどにも変化が生じることから、一概には言い切れませんが、おおよそはこのリストになかったものについては、なくなったとしてもあなたの生活には支障がないものといえます。
また、生活をするためには、意外に少ないものでことが足りることにも気づかれるはずです。これは、旅行などに行かれてホテルや旅館などで生活をしてみると、よくわかるものです。限られた私物のみでも、私たちは案外生活を成り立たせることができるものなのです。
よってこの基準をベースに、断捨離を進めていけば、モノは急速に減るはずです。
断捨離における捨業はうまく進むことになります。
あとは不要なものを新たに家に買い入れることを徹底して拒否すれば、一度減ったモノの量は、再び増えることはなくなるはずです。すると、支出面で大きな余裕ができ、また、居住スペースも快適なものとなるはずです。
ご夫婦での質素ながら豊かな生活を、ぜひとも満喫いただければと思います。きっと、断捨離の真のメリットを、実感していただけるはずです。
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