45歳以降を対象としたリストラが大手企業を中心として拡大傾向にあるようです。本ブログの読者は、おおよそシニア世代、つまり50代後半であられるはずですが、45歳以降の方もいらっしゃるようです。まさに現在拡大するリストラの波を直接的に受けている方ということができます。
そこで今回は、拡大する45歳以降のリストラと今後の雇用形態の変化についてお話を進めていくことにしましょう。
拡大しつつある45歳以降のリストラ傾向
大手企業が45歳以降のリストラを進める理由
バブル経済崩壊以降、終身雇用制度もまた徐々に崩壊する傾向を辿るわけですが、現在に至り大手企業の多くが45歳以降のリストラを断交し始めたのはなぜでしょうか。
これには様々な要因が絡みます。その最たる要因として、急速に広がりつつRPAの存在を挙げることができます。
RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略であり、ホワイトカラーの業務を自動化もしくは効率化するための取り組みやシステムをいいます。
「ロボティック」というワードが含まれることから、ロボットによる効率化をイメージできますが、RPAにおけるロボットとは、PCやサーバー上で機能するシステムであり、これまで複数のソフトウェアやツールによって処理されていた業務の一切を統合し、これを自動で処理することが可能となるものです。
RPAは、プログラミングの必要がないことから、しっかりとした業務分析ならびに自動化設計を行うことで、これまで人の手によって実現してきた業務の多くを自動化することが可能となります。よって、今後はホワイトカラーの業務の多くがRPAへと置き換えられていく可能性が高いといえます。
このため今後は、ホワイトカラーの業務に人件費を投入する必要が企業側にはなくなりつつあるわけです。
人口分布でも高い割合を占める現在のミドル世代
現在の45歳は、第二次ベビーブーム到来の少し前に誕生しており、45歳を迎える人の比率は今後しばらくの間増加傾向を辿ることになります。
これまで会社のために比較的安い給与によって働いてきたこれらの世代は、年功序列として毎年給与ベースが上昇することで、多大な人件費を必要とし、しかもその世代の人口比率が厚いことから、企業側は多大なコストを必要とすることになります。
その一方で、40代半ばといえば、中間管理職や職制など、組織のリーダーとなり、収益を生み出す最前線からは退く立ち位置となるはずです。
つまり、多大な人件費が発生する一方で、企業収益に直接的に関与しない層が厚くなることになり、企業側とすれば、コストばかりが嵩むリスクを抱えることになるわけです。
収益を生み出す若手を安い人件費で確保したい企業
実践的に収益を生み出すことがないミドル世代に高い人件費を支払うのであれば、むしろ給与水準の安い若手を雇用し、安くしかも高い生産性を確保できる体制を構築することで、企業は高い生産性や収益性を保持することができることになります。
このため、給与水準が高く、しかも収益を生み出すことのない45歳以降の人材をリストラすることにより、労働者のいい所どりを可能とすることができるわけです。
長くは続かない企業のいい所取り
非生産部門を自動化するとともに、生産部門に若手を充てることで、企業は収益率を挙げることが可能となります。しかしこの傾向は長くは続かないことが予想されます。
というのも、この傾向を就職活動をする学生は敏感に受け止めることになり、今後は企業に対する就職動向にも大きな変化が生じ始める可能性が高いからです。
45歳になった段階に切られてしまう可能性のある企業や業態への入社は控えたいと、若者は考えるはずです。
若いうちに、安い給与であっても過酷な労働に耐えるのは、これまで大企業などにおいてはミドル以降、楽に高い収入を得ることができるといったメリットがあったからに他なりません。ところがこの構図が担保できないとなれば、安い給与で、そのような企業に就職することはむしろリスクとなります。
であるならばと、若いうちから自らの実力によって高い給与を得ることができる企業や業態へと流れるのは当然のことであり、実際に今年になって企業や業態の人気度には大きな変化が早速生じ始めています。
たとえば東京大学を始めとする一流大学において、官僚への道をあえて選択せずに、外資やコンサルタント企業へと流れる傾向が顕著にあらわれ始めています。
これらは、20代30代における下働きや低賃金を嫌気した結果であり、彼らは20代において高い収入を得られる業態へとシフトし始めているわけです。
今後はミドル以降にリストラのリスクがある企業や業態を避ける学生が増えることになります。よって生産部門において若手のみを安く使いたいと考える企業は、今後若手を安い給与では確保できなくなったり、確保が困難となることが予想されます。つまり、企業のいい所取りは長続きしないわけです。
45歳リストラ時代のサバイバル戦略
若いうちに苦労を重ねれば、ミドル以降は安泰といった構図の中で頑張り続けた人々が、あっさりと企業によって反故にされることになったわけですから、それは想定外に発生したリスクと言えます。まさに晴天の霹靂であり、多くの方は事前の対策を講じることなく、職を絶たれる可能性が高いわけです。
よって次に、45歳リストラ時代におけるサバイバル戦略についてお話を進めていくことにしましょう。
非生産部門の自動化サイドに立つ
企業がリストラ対象とするのはミドル以降において、非生産部門で高い給与を得続ける社員ということになります。このため、リストラを回避するためには、企業に対して何らかの生産性向上をもたらす人材となっておく必要があります。
仮に非生産部門に席を置かれるのであれば、いち早くRPAに精通し、むしろ自動化を促進する側へ回るか、その流れの中で立ち回ることのできる立ち位置に席を置いておくと良いでしょう。
生産部門職におけるスキルアップや資格取得
生産部門への転身をあえて図っておくという方法もあります。
これまで非生産部門にいらした方が、いきなり生産部門へ転身することは難しいかもしれませんが、これが無理であるならば、生産部門に関連する国家資格を手にしておくだけでも歯止めのフックとして機能する可能性はあります。
実際に生産部門へ転身を図る場合、一からのスタートとなるわけなので、給与が下げられる可能性はありますが、それでも転職をして年収が半減してしまうよりはリスクが少ないはずです。
横のつながりを太めておく
昨今、ミドル以降の転職において、これまでの年収を維持するのは至難の業と言えます。おおよそは年収200万円台にまで落ち込む可能性が高いわけです。このため、リストラを受ける以前において、他社との横のつながりを太めておく必要はありそうです。
同業他社、もしくは異業種においての同じ部門への転身を図ることができれば、おおよそこれまでのスキルを活用することができるはずです。
ただし、45歳以降のリストラの傾向は、徐々に広く拡散していくことが予想されています。一社においてリストラ対象となった人材を、高い給与で雇用することはかなり難しいということを予め認識しておく必要はありそうです。
単独での収益化を実現する
昨今、働き方改革の名のもとに、副業の容認が拡大しつつあります。このため、現在の本業を温存しながらも、オフタイムを最大限に活用し、雇用されることなく収益化を図る副業に取り組むことも選択肢のひとつとなります。
実際、副業によって高い収益を生み出すことに成功している方の場合、企業側の理不尽な要求をそのまま受けることなく交渉をする余裕はあるものです。
また、万が一企業側の要求を受けることができない場合には、退職して副業を本業とすることで、生活の困窮などを経ることなく、転身に成功する場合もあるわけです。
よって、単独でも収益源を確保できるようなビジネスを展開しておくことも、転ばぬ先の杖として有効となる可能性は高いわけです。
まとめ
今後、ホワイトカラーの雇用形態には大きな変化が生じることになるはずです。先にも触れているように、企業によるいい所取りを学生はリスクとして捉えることから、今後の優秀な人材は、能力をすぐに収益へと変換できる企業や業態へと流れていくはずです。
よって、有能な若い人材の給与は、急速に上昇する一方で、ホワイトカラーの椅子の数は大幅な減少傾向を辿ることが予想されます。
また、年功序列的な給与体系はさらに減少し、企業の収益性を直接的に引き上げることのできる人材のみが生き残るものの、給与額の頂点は45歳となり、それ以降は下降傾向へとシフトする流れが主流となる可能性が高いと言えます。
その一方で、ギグエコノミーやクラウドソーシングなど、小さな仕事については、誰もがインターネットを介して得ることのできる環境の整備が進むかもしれません。
シニア世代においては、すでに過ぎ去りしサラリーマン時代とその雇用形態の変化ということになりますが、ミドルの方の場合、より幅広い分野にアンテナを張り巡らせることで、突然訪れるリスクの対策を万全なものとしておく必要はありそうです。
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