医療保険よりもむしろ必要な高額療養費制度と限度額適用認定証の知識

シニアお金

40代以降のミドルからシニア世代になると、医療保険加入について特に意識するようになるものです。三大疾病を始めとして病のリスクが高まることから、万が一のときのために医療保険の必要性が際立つことがその要因だといえます。

しかしながら、それ以前に知っておく知識として高額療養費制度についてしっかりとご理解いただく必要があります。また、高額療養費制度を用いる上で不可欠となる限度額適用認定証に関する知識も重要なものとなります。

そこで今回は、高額療養費制度と限度額適用認定証についての知識を深めていくことにしましょう。

医療保険によるご夫婦の月々の平均コスト

高額療養費制度について把握する前に、医療保険によるご夫婦の平均コストについて、ご紹介しておくことにしましょう。ちなみに、ミドル以降のあなたは、現在医療保険にご夫婦でどの程度の保険料を支払われていらっしゃるでしょうか。

これについては、年齢によっても異なりますし、保険商品によっても格差があることから一概にはいえませんが、ご夫婦の平均月額保険料は40代以降で9000円程度との試算があります。つまり、ご夫婦で医療保険に9000円程度を支払っていれば平均値であり、それ以下、それ以上という判断をすることができます。

さて、これを踏まえた上で、次に高額療養費制度についてお話を進めることにしましょう。

高額療養費制度とは

 

 

三大疾病などとなった場合、高額な医療費が発生すると危惧されている方は少なくないはずです。このため、三大疾病に対応する高額な医療をサポートする医療保険に加入されている方も少なくないはずです。幅広い疾病に対応することから、保険料は高額となり夫婦で数万円という保険料を支払われている方もあるものです。

しかし、高額医療に関しては、一定額を超えた部分を給付してくれる公的医療保険制度が日本にはあります。これを高額療養費制度と呼びます。

高額療養費制度では、健康保険法に基づいて、発生する医療費を一定額以下にとどめることが可能となっています。つまり、一定額以上の医療費を、青天井で個人が支払う必要はないわけです。

高額療養費制度における自己負担限度額

高額療養費制度における自己負担限度額については、自己負担限度額は70歳未満と70歳以上では異なります。また、所得の有無によっても変動します。

たとえば報酬月額が30万円のサラリーマンが、何らかの疾病によって1ヶ月の入院を余儀なくされ、総計で100万円の医療費が発生したとします。

この場合3割負担ですから、個人に対する請求は30万円となります。しかし、高額療養費制度を受けた場合、月額およそ9万円を超えた額は給付の対象となることから、最大その額の負担のみで事が足りることになります。また、入院が長期に渡る場合、4ヶ月以降は限度額はさらに下がり5万円弱を超える医療費負担はかならなくなります。

一方70歳以上の年金受給者が高額医療費制度を受けた場合、およそ6万円を超える部分は給付対象となるというものです。

これまで医療費のすべてを自己負担しなければならないと思われていたのであれば、これらの知識を押さえるだけでも、随分と肩の荷が降りたのではないでしょうか。

高額療養費制度適用外の医療費

ただし高額療養費制度には適用されない医療費もあるので、この点の把握は重要となります。

生活する上で必要となる食費や居住費、差額ベッド代、保険適用外の先進医療費などは高額療養費制度適用外となっています。つまり、入院費自体は適用されるものの、食費や生活に関わるコスト、差額ベッド代などについては適用外となるわけです。また、先進医療を受けるなど、保険適用外の医療については適用外となります。

高額療養費制度の申請方法

事後手続きと事前手続きの存在

高額療養費制度の申請方法には、事後手続きと事前手続きのふたつがあります。
事後手続きとは、一時的に医療費の3割を支払うものの、高額療養費制度の適用を受けてたとえば上限の9万円を超える額の給付を後からうけるものです。

結果として9万円を超える負担を回避することができますが、一旦は3割の医療費を用意する必要があります。また、貯蓄などがない場合、支払いに苦慮することもあることでしょう。これを回避するためにあるのが、事前手続きです。

事前手続きは、限度額適用認定証を申請することで、窓口での支払いを自己負担額限度額までにとどめることができる方法です。

本例では、上限を9万円としているので、これを超えて支払う必要はなくなります。それを超える医療費については、医療機関と給付機関でなされるので患者がこれを意識する必要はありません。

事後手続きの申請方法

まずは事後手続きの申請方法です。

事後手続きは、先にもふれているように、医療機関に対して一旦医療費を自己負担で支払います。

その後に、その領収書、保険証、印鑑、振込口座などを用意して健康保険証の申請窓口、もしくは国民健康保険の場合は最寄りの市区町村の国民健康保険窓口に申請します。すると、後日自己負担限度額を超える医療費についての給付を受けることができることになります。

事前手続きの申請方法(限度額適用認定証)

事前手続きの場合は、限度額適用認定証を申請することで、窓口での支払いを自己負担限度額までに留めることが可能となります。

このため、まずは限度額適用認定証の交付を受ける必要があります。

これには、各健康保険の窓口に対して交付申請をする必要があります。よってご本人やご家族の入院が決定した時点で交付申請をされると良いでしょう。

限度額適用認定証の交付を受けたなら、これをもって医療機関に対して、保険証と共に提出することで、限度額を超える請求が発生することはありません。また、限度額を超える医療費については、医療機関と給付機関でやり取りがなされるので、患者側が意識する必要はありません。

高額療養費制度を加味した医療保険の利用

これまでの説明において、高額療養費制度をご理解いただければ、医療保険の無駄を解消することができることにも考えが至ることになるでしょう。つまり日本の皆保険制度と高額療養費制度を用いることで、青天井の医療費負担が発生することはないわけです。

それでも、差額ベッド代や食事代など、入院にかかわる負担は発生しますし、この部分については高額療養費制度の対象外となるので、自己負担がかさみます。また、先進医療などの保険適用外の医療費についても、高額療養費制度の適用外となるので、これらの部分をサポートする医療保険を選定されれば良いことになります。

なお、一般的に長期入院でかかるコストは、高額療養費適用外部分においておおよそ25万円という試算もあります。よって、この額を医療費として用意しておくと共に、保険適用内の医療に限定することを想定するならば、医療保険に毎月高額な保険料を支払う必要すらないことにもなるわけです。

医療保険は、万が一の際に安心できる商品と言えます。しかしながら、無条件にすべての手厚いサポートを受けることの出来る商品は、自ずと保険料も高額となります。

よって、医療保険のサポート範囲をしっかりと見定め、部分的には自己負担用に貯めておくとともに、後がk療養費制度適用外に注目し、その部分の保険商品をチョイスすることで、最適でかつ完全な安心を得ることができることもご理解いただければと思います。

コメント