第二の人生が色あせてしまう理由
昨今、できれば生きている間は働いていたいと考える人が増えているようです。その一方で、老後はのんびりと自由に生きたいと考えられている方もいらっしゃるはずです。既に老後設計は万全であり、資産も貯蓄も、そして老後の生活資金にも万全というわけであり、あえて働く必要はないわけです。
しかしこのような方の場合、意外にすぐに日々が暇となってしまう場合もあるようです。第二の人生における生き方にも、実はある種のコツが存在し、しっかりとツボを押さえておく必要はあります。
そこで今回は「第二の人生を輝いて生きるのはツボを押さえないと意外に難しい」というお話を進めていくことにしましょう。
「第二の人生にやりたいことは多数あるから」との自信
「定年退職をした後には、やりたいことが山ほどあるんだ。輝かないわけがないね」と、定年を間近にひかえた人の多くは、このように考えられている場合が多いようです。
「これまで仕事一筋に生きてきたんだ。これからはやりたいことをやって生きるさ」
下流老人や老後破産などの言葉を多く耳にする昨今において、このような余裕ある方は、計画性のある素晴らしい人生設計を描かれてきた方であるはずです。
そこでこのような方に「やりたいこととは?」と問うと、人それぞれ様々な答えが返るものです。
・温泉でのんびり
・ゴルフでも始めるかな
・グルメの食べ歩き
・映画三昧
・友人とバンドを結成
・ひたすら読書
・特化した分野の学問を学ぶ
・毎日釣り三昧
・毎日映画三昧
・昼間から飲んだくれたい
・起業する
・投資で退職金を増やしたい
それぞれに時間があればこその過ごす方であり、これらを全うできるのであれば、それは第二の人生も素晴らしいものとなりそうです。
半年から1年で「やりたい事」に飽きてしまう人々
このような方々が実際に定年を無事迎え、それから以降、生涯にわたる完全に自由な時間を得られるようになると、当然のこと、これまで思う存分やりたかったことを思う存分味わうことになります。
妻と長期の旅を楽しみ読みたい本を読み、釣りを楽しみゴルフもして、映画も見放題となります。当初はとても充実した毎日が続くといいます。ところが、この輝く日々も、次第に輝きを失うことになる方が多いように見受けられます。
なんでも好きなことができる日が続くわけですから、そんなはずはないと思われるでしょうか。
しかし実際に、定年を迎えられてから半年、1年と経過するに従って、次第に日々の生活にハリを感じることができなくなる人が増えてくるわけです。
さてこれ、なぜでしょうか。
輝くはずの第二の人生がつまらなくなる理由
好きなことをできる日々は、これまで必死に働き続けてきた人からすれば、それは当然輝くべき生活であるはずです。当然のこと、当初は毎日を楽しく過ごすことができます。好きなことだけに時間を消費することができるわけですから、楽しくない理由がないわけです。
ところが、好きなことがでいる日も、毎日続くとそれが日常となります。どのようなことであれ、日常とは、つまりは当たり前の日々であり、次第に「やりたい事」に飽きてしまうことになるわけです。
「それはない。今までだって時間の許す限り取り組んできたことだ。飽きることはありえない」と思われますでしょうか。
しかし今までは、あくまでも「時間の許す限り」という制約の中で取り組んできたことであるはずです。帰宅後の数時間や、少ない休日の中で作り出す時間とは、とても貴重なものです。そして貴重だからこそ輝くわけです。
ところが、老後において仕事をしなければ、1日24時間が自由時間となります。
つまりこれが日常であり、やりたいことはいつでもできる環境を得ることになります。
毎日、いくらでも得ることができる自由な時間は、当初は輝くものの徐々に日常化してくることから、次第にそれは貴重なものではなくなるというのが、つまらなくなる理由のひとつとなるようです。
昼間に家に居にくい雰囲気ができる
加えて、このようなことも発生することが多いようです。
定年を迎え、その後に仕事をしない場合、当然のこと家で過ごす時間が増えていくものです。現役世代においては、平日の昼間に家にいることはまずなかったわけですが、定年後は毎日が日曜日となることから、昼夜家にいることもあります。また、曜日が関係ないことから「今日は何曜日だっけ?」とカレンダーを見ることもあるものです。
毎日家にいるとなると、次第に妻との折り合いが悪くなることもあります。
妻からすれば、毎日家にいると、とかく家事負担が増えることになります。また、のんびりしたくても、夫の存在があると、ゆっくりとくつろぐこともできません。
「夫元気で留守がいい」
と、そんな言葉が流行ったことがありますが、この言葉、意外に核心をついていたりするわけです。
第二の人生を輝いて生きるためのコツとは
では、第二の人生を輝き続けたまま生きるコツとしては、どのような方法があるでしょうか。これについては、複数存在するようです。次にそのコツをいくつかご紹介することにしましょう。
日々の生活の中に「義務」を組み込む
これについては、定年後、日々の生活に輝きが失われたと思われた以降でも始めることができます。それは、日々の生活の中に何らかの「義務」を組み込むことです。つまり「しなければならない」何かを、生活の中に取り入れるわけです。
「やっと自由を手にしたのに、なぜ今更義務を自ら?」と思われるでしょうか。
日々の生活サイクルはひとそれぞれですから、これを無意識に取り入れている方もいらっしゃるようですが、フルに自由となると、日々をダラダラと過ごしがちになるものです。
しかし生活の中にちょっとした義務を組み込んでおくと、それがベースとなって生活が回るようになります。また、ちょっとした義務があると、それが逆にその他の時間を輝くものへと変えていくことができます。
現役時代の忙しい日々の中で作り出した自分の自由な時間、これがとても貴重だったことを思い起こしていただければと思います。
日々の生活に輝きをもたらすためには、どこかで自分の意思とは別の何らかの義務を設定しておくことで、現役時代と同様に、時間に貴重性をもたせることができるわけです。
「義務といわれても、何をすれば良いのか?」
もっとも容易に得ることができるのは、何らかの社会貢献です。これは、仕事で得ることもできるでしょう。また、何らかのボランティアに参加されるのも良いかと思います。
日々好きなことをして過ごす一方で、義務によって社会との接点を保つことで、自己の存在意義を得ることができることになります。また、生き甲斐を求めることもできるはずです。それでいて、自由な時間にも輝きをもたらすことができることから、享受できるメリットは多大であるわけです。
趣味に何らかのルールを設定する
「義務の次はルールか?」とげんなりとされるかもしれません。しかし趣味にルールを設定することで、生涯趣味を楽しむことができる場合があるものです。
もともと現役世代に思う存分したかったことであるわけですから、日々取り組んでも飽きることはないように思われます。しかし、毎日となると、次第に飽きが来てしまうこともあります。
たとえば「老後はあちこち旅をしたい」と考えられていたとして、実際に老後を迎えた以降、資金的に余裕があるのであれば、訪れてみたかった地を旅することになるはずです。しかし、主だったところを訪れてしまうと、旅にも慣れることから、次第に旅に出る機会は少なくなることもあるものです。
ところが、あるルールを設定してしまうと、長期にわたり毎度旅を楽しむことができるようになるものです。そしてこのルール、どのようなものでもかまいません。
仮に、興味のあるものをターゲットとして、それを巡ることをルールとしただけでも、それを実現するまでの道のりを楽しむことができるようになるものです。
ターゲットとは温泉でも神社仏閣でも、天然記念物でもかまいません。滝であっても一級河川であってもかまいません。これを巡りつつ、それを写真に収めるとともに資料を作成するといったことも考えられます。
これを全国についてまとめ上げることをルールとするならば、生涯にわたる小さな旅を必要とすることになります。また、一度始めたなら、次第に知識も積み上がることになり、その都度プランも立てやすくなります。つまり、飽きることなく複数の旅を続けることができるわけです。
ルールの設定は、どのような趣味においても適用することができるはずです。趣味に何らかのルールを設定することで、長期にわたり、その趣味を育てることができるようになり、第二の人生を輝かせることができるわけです。
夫婦の作業分担の見直し
既婚者の方であれば、老後における夫婦の作業分担の見直しもまた、第二の人生を輝かせるために不可欠なことといえそうです。
現役時代においては、夫が働き妻が家庭を守ったり子育てをするというのが、これまでのサラリーマンの一般的な作業分担となっていたはずです。仕事で疲れて帰宅した夫は、家のことはほぼせずにいた事でしょう。
妻としても、生活費を稼いでくれる夫には、せめて家にいる間はくつろいで過ごすことに理解をしてしてくれていたはずです。
しかし老後において夫は仕事をしなくなるわけであり、つまりこれまでの夫婦の作業分担に変化が生じることになります。妻からすれば、働かない夫のために日々家事をするというのにもストレスを感じることもあります。
よって定年後に仕事を持たないのであれば、家事についても夫婦で分担して行う必要があります。
家のことは常に二人で行ったり、交互に行うなどの配慮をもつことで、その分、妻の負担も減るわけですから、妻の自由な時間も増えることになります。すると、双方に適度な開放感を享受することができるようになり、よって夫婦での第二の人生を楽しむ環境が整うことになるわけです。
昨今、熟年離婚が増加傾向にあります。また、妻と旅行を楽しもうと考えても、妻がそれを拒否するといったことも多いようです。これは、第二の人生においても妻の仕事が軽減しないことを要因とすることが多いようです。よって、老後においては、夫婦の作業分担を見直し、互いに楽しむことのできる環境の構築が有効となるわけです。
まとめ
時間の過ごし方は人それぞれであるわけですから、これまでご紹介したコツには、個々のアレンジが必要となるかもしれません。しかしながら、第二の人生において、これまでのコツをうまく取り入れることで、その後の時間の過ごし方を、輝くものへと導くことは可能となると考えています。
平均寿命や健康寿命は、今なお長くなる傾向にあります。85歳まで生きるとしても、65歳で定年を迎えた以降、20年の余生が残されているわけです。そしてこの20年は、すべて自由な時間として使うことができます。
ぜひとも、ここでご紹介したコツをご参考いただき、末永く素敵に輝いた第二の人生をお過ごしいただければと思います。
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