別記事において、一般的にシニアは55歳からということについて説明しています。もしこれをお読みのあなたがまだ40代であるのなら、シニア層に組するまでには、まだまだ時間があるように思われていらっしゃるかもしれません。
しかし実は、シニアにおいてはさまざまな問題が発生する可能性があります。そしてこれはときに人生を大きく揺るがしかねない事態を招くことすらあります。
「おいおい、脅かすなよ」
ですよね。でも、このような事態を回避するためには、実は40代からしっかりとしたシニア対策を講じておく必要がありそうです。
シニアに発生しうるリスク
身体能力の大幅な低下
40代まではバリバリと働き、病気も疲れも知らないという方であっても、さすがに50代を迎えると、あちこちにガタが出始めたり、臓器の疾患に見舞われたりもします。
身体能力の大幅な減退を感じるのもシニアを迎える50代であったりします。
「いやいや、私はそんなことはない」
皆さんそう思われては50代を迎えるわけですが、実感してみるとこれはなかなか厳しいものです。
体力以外にも、思考力は発想力にも大きな陰りがみえ始めます。また、忍耐力についても大幅な減衰を実感するものです。つまり、これまで可能であった多くのことが億劫になったり、できなくなる可能性すらあるのです。
お子さんの教育費増大
シニアを55歳からとするならば、決して老人などではなくバリバリの現役ということができます。
50代では、お子さんが大学へ進学する頃でもあります。よって教育費などの負担が高まることになります。
シニアの方の中には、お子さんに対する教育費の増大から債務を抱え、それが60歳以降の生活をも脅かすことになる人もいるものです。
リストラのリスク
サラリーマンであればリストラのリスクは年代に関係なくつきまとうものです。しかし50代のリストラは人生における最大の危機と言っても過言ではありません。
50代は生活水準が高まっている時期であり、生活費も高いものがあります。それでもサラリーマンであれば毎月給与を得ることができることから、なんとか回っていくだろうと誰もが考えています。
しかしそんな時に、突然のリストラに遭遇したらどうでしょうか。
昨今では、中年の再就職は非常に難しいものがあります。また、幸運にも再就職に成功したとしても、年収の大幅なダウンは避けられません。なかには、年収が半分以下となってしまう場合もあるのです。
ちょうどお子さんにも最もお金がかかる時期でもあります。
50代半ばになって、リストラにあって、生活設計が根底から崩れてしまうこともあるわけです。
老後の生活費の心配
50代になると、さすがに老後のことが気になり始めるものです。若い頃、老後について「まだ先のことだし、何とかなるだろう」と楽観視していた方も、50代を迎えると流石に真剣に向き合うことになります。
正社員の方の場合、厚生年金と退職金において、ある程度の老後設計を組み立てることができますが、非正規社員や自営業の方の場合、年金額が少なかったり退職金を得られない方も少なくありません。
「どうしよう」
と、頭を抱えることに成るのも、50代ということになります。
なお、1960年生まれ以降の男性の方は、年金の受給は65歳からとなっています。
政府は高年齢者雇用確保措置として、定年年齢を65歳未満に定めている事業者に対しては、「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかを企業に義務付けています。
しかし実際には、定年の引き上げや定年の廃止を導入する企業はまだ少なく、嘱託による再雇用を実施する企業がほどんどです。この場合、60歳以降は年収が大幅に減額されることから、それまでの生活水準そのままでは、65歳まで生活をつなぐことが難しいという人が増大することが懸念されています。
住宅ローンの残債問題
シニアになられて大きな問題と成るものの中に、住宅ローンの残債問題を挙げることができます。
30歳以降に35年ローンで住宅を購入された方の場合、ローンの返済は60歳以降も続きます。ところが、60歳を境として年収が大幅に減額されてしまうと、これを支払うことができない可能性もあります。
40代から始めるべきシニア対策とは
シニアになって遭遇する可能性の高い問題、いろいろとありそうです。あなたはこの中の何点について万全な対策を講じていらっしゃるでしょうか。
「全項目、バッチリ対策済み!」
という方は意外に少ないのではないでしょうか。
シニアの問題の多くを解決する1つの対策
実はシニアに遭遇しうる問題は、1つの対策において払拭することができるものです。答えはおわかりですよね。つまり「お金」です。
シニアの問題の多くは、経済的困窮状態によってもたらされることになります。よって40代のうちからこの問題にしっかりと向き合い、あらかじめ準備をしておくことで、シニア世代において頭を抱える可能性を最小限とすることができることになります。
しかし言うは易しです。そもそもお金があれば、誰も苦労はしないわけですから。
「さて、どうしよう」ということになります。個々の問題に対する対策法を、次に考えていくことにしましょう。
お子さんの教育費対策
お子さんの教育費については、40代であってもすでに大変という方もいらっしゃるはずです。
しかしもし、まだお子さんが小中学生程度であれば、いち早く学資保険を始められることをお勧めします。ただし学資保険の中には元本が保証されていないものもあるのであらかじめ注意が必要となります。
また、学資保険以外にも、財形貯蓄や積立型の定期預金などで毎月積み立てておくという方法があります。
さらには、積立を分散し、一部を投資信託の積立投資に向けることで利回りを期待することもできます。
大学の学費を安価で済ませる
老後の生活費対策
大手企業にお勤めであれば、定年時に退職金としてまとまったお金を得ることができるはずです。また、厚生年金にも加入されているはずなので、少なくとも65歳以降の生活設計は組み立てることができることでしょう。
問題となるのは60歳から65歳の5年間において、年収の大幅な減額がなされた場合です。嘱託による再雇用がなされた場合、月々の手取りが10万円代まで下がることもあります。
生活費の不足分を退職金で補おうと考えていると、そのしわ寄せが65歳以降に到来することにもなりかねません。
40代以降は、比較的生活コストもかかるものですが、できれば生活水準をむしろ40代のうちから締め始め、余力を貯蓄に振り分けることが望ましいと言えそうです。
また、退職金を期待できない場合や年金では生活が難しいと考えられている方の場合、40代から本業以外の収益源を模索することも有効な手段となります。
昨今では、インターネットの存在もあり、マネタイズの方法も多岐にわたります。
「収入=支出+貯蓄」の状態を、いち早く作り出しておくことは、とても重要な要素のひとつといえそうです。
住宅ローンの残債問題はやはり前倒し返済
60歳以降において、住宅ローンの返済のために生活が困窮してしまう人は決して少ない数ではありません。65歳以降まで住宅ローンの返済を続ける必要がある場合、60歳以降の年収減によって負担が増大することがあるからです。
このため、できれば60歳で完済できるように、前倒し返済を始めることをお勧めしたく思います。
前倒し返済では、完済年を前倒しにできること以外にも、金利負担を軽くし総額の返済額を減額することができるメリットもあります。
「それはわかるがそんな余裕はないよ」
おっしゃることはわかります。しかし40代は最も高い年収を得やすい年齢層にあります。それに対応してライフスタイルの向上を図る人はとても多いものです。しかしその結果としてシニアに苦労を被るのであれば、むしろこの時期に前倒し返済をしておくことがとても大切であるわけです。
リストラのリスク回避策と対応策
リストラについては、本人の意思にかかわらず遭遇する可能性があります。また、リストラ以前に会社が倒産などしてしまっては回避のしようがありません。
まずリストラの回避策ですが、これには社内における縦横の関係を密に保つ必要があります。会社に大きな利益をもたらし続けているのであれば別ですが、多少仕事ができるからと、一匹狼的に生きていると、突然リストラ対象となる事象も実際にあるものです。
また、社外にも多くの人脈を持っておくことで、万が一退職を余儀なくされたとしても、次を見つけることができる場合もあります。
現状、ミドル以降の再就職は非常に困難な状況にあります。現状の年収を維持したままの転職成功率は極めて低いわけですが、それでも同程度の年収を維持しての再就職を成功した人の多くは、第三者の紹介をつてにしていることが少なくないわけです。
リストラ回避策として有効となる能力や知識
・リーダー学
身体能力の大幅な低下回避策
「50を過ぎてガクッときちゃってさぁ」
50歳を超えられた方にありがちな言葉です。
人は加齢とともに身体能力や知的能力が衰えていくものです。しかしこれは対策を講じておくことである程度は回避することができるものです。
まずは体力についてですが、適度な運動を継続的に続けることを挙げることができます。
ジムに通われてみてはどうでしょうか。民間のジムではコストがかかりすぎるというのであれば、市区町村など地方自治体が運営するジムに通うという方法があります。最近では、設備がかなり豪華で、あらゆるマシンを導入しているジムも少なくありません。
週に2回程度であっても、定期的にジムに通われていらっしゃる方は、たとえ70代となられても若々しい体型を維持されており、筋力にも衰えを感じないといいます。
特にオフィスワークの方の場合、筋肉が衰え、足が細くなる傾向にあります。また、その上で脂肪が増え続けるわけですから、各臓器への負担も増大します。
40代から、適期的に適度な運動を継続することは、身体能力の低下回避策として有効です。
知的能力の低下回避
脳を活性化するための有効手段は、一桁の加減算と音読といわれています。単純な脳トレーニングであるわけですが、脳は単純な処理に効率性を見出すことが逆に難しいことから、結果として脳全体を使う必要があるんだそうです。よってこれらを継続的に行うことで、脳機能を維持することができるわけです。
「収入=支出+貯蓄」をベースとしたライフスタイルを
冒頭でも申し上げたように、シニア対策は多岐に渡るものの、その問題の多くは「お金」問題に絡むものでした。よって40代からしっかりとした計画のもとで貯蓄を続けることで、問題の多くを回避することが可能となるわけです。
しかし40代はすでに支出額も多くなり始めていることから、シニア世代を見据えて貯蓄をしようとしても、なかなかうまくいかないのが実情かと思います。
貯蓄は節約で生み出すものではない
意外に思われるかもしれませんが、貯蓄は節約によって捻出するものではありません。というのも、節約とは、消費思考に相反するものであり、アクセルを踏みたいのにブレーキを踏むようなものだからです。
よって貯蓄額を捻出するためには、よりライトな生活へとシフトする必要があるものです。
たとえば、徹底して固定費を見直し、無駄なサービスのすべてを停止したり、より安いコストのものへ移行するなどの取り組みが必要となります。
また、より高いグレードの製品に手を出したり、ライフスタイルの向上を最優先させるなど、これまでであれば40代に許されたことから、あえて遠ざかる覚悟も必要となるかもしれません。
先にも触れていますが「収入=支出+貯蓄」を実現できるライフスタイルこそが、あなたの現状に最も適した水準であり、これができないということは、すなわち行き過ぎた支出を重ねていることになるわけです。
この点を十分に把握いただければ、自ずと日々の生活コストは下がっていくはずです。
この取り組みを40代からはじめることで、快適なシニア世代を迎えることができるものと思います。
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