シニア世代となられて、時間的余裕もできたことから、ひとつジックリと英語の勉強でも始めようかと考えられている方も少なくないはずです。
なお、一口に英語と言っても、リスニングやスピーキングなど英会話の能力を高めたいという方がいらっしゃる一方で、リーディング能力を高めることで、文献や著名な書籍に原書で触れたいと考えている方も多いようです。
そこで今回は、シニアからの英語学習の中でもリーディング能力を効率的に高める方法についてご紹介していくことにしましょう。
真面目な人に見る挫折例
リーディング能力を飛躍的に高めていく方法をご紹介する前に、その逆の例として、リーディング能力の向上を阻害する勉強法について少々触れておきたいと思います。
というのも、英語学習に挫折する方が日本にはとても多いものです。そしてそこにはある共通点を垣間見ることができるからです。よって最初にこの失敗例をご理解いただくことで、挫折組となることを回避することができるはずです。
リーディング能力の向上を阻害する勉強法
もう数年前のことですが、筆者が新幹線においてたまたま隣の席にいらした方が印象的だったのでそのお話をご紹介したく思います。
年齢はおおよそ50代の方だったと思われますが、新幹線に乗り込んでこられてしばらくの後に、この方はバッグからペーパーバックスと電子辞書を取り出します。
また、手には赤いボールペンを握ります。
ペーパーバックスは当時流行っていたファンタジー小説の原書であり、ページ数はそこそこあるものの、比較的読みやすい作品です。
この人は、その一ページ目から早速目を通し始め、そして文章を目で追うとともに、ワードに赤線を引き始めます。見ると一ページに10本程度の割合で線を引きます。そして赤線を引いた単語を、次に電子辞書ですべて調べ上げ、その意味をペーパーバックス内に書き留めていきます。どうやら、わからない単語を完全制覇しようとされているようです。
さて、この勉強法、いががだと思われるでしょうか。この方が、仮に非常に意志が強くしかも忍耐力のある方であれば、もしかすると、このスタイルでおおよそ400ページ以上はあろうかというペーパーバックスを制覇するかもしれません。
しかし99%の確率で、この人は途中でこのペーパーバックスを投げ出してしまうに違いありません。
筆者はこれまで、同様の取り組みでリーディング能力を高めようとする方を何人も見てきています。しかし、実際に英語を克服されるに至った人を見たことがありません。さて、これはなぜでしょうか。
面倒なことは続かない
答えは至ってシンプルです。面倒なことは続かないからです。
この方の方法の場合、乗り切ることができれば、ペーパーバックスの中でわからなかった単語のすべてを覚えることに成功するはずです。しかし、意味のわからない単語を調べ、そのすべてを記載する作業は多大です。また、この作業に費やす手間に追われてしまい、多分彼はこの小説を楽しんで読むことはできないはずです。
よって10ページほどでこの取り組みは挫折し、リーディング能力が向上することはなく、結果として英語の克服には至らないに違いありません。
リーディングを向上させる唯一無二の方法とは
実はリーディング能力を効果的に向上させる唯一無二の方法が存在します。これは「多読」です。
当たり前といえば当たり前のことなのですが、リーディング能力を向上させるためには、より多くの英文に触れる以外に方法はありません。よってリーディング能力を効率的に高める方法の実現は、如何にして多読をするかにかかっていることになるわけです。
俗にいわれる多読三原則
2)不明箇所は飛ばす
3)面白くない本は投げる
リーディング能力を飛躍的に向上させる方法として「多読三原則」というのがあるのをご存知でしょうか。これについては上記に記す通りとなります。
簡単に説明を加えると、多読を実現させるためには「辞書など引くな」ということに尽きます。
「そんなこといったって、辞書なしでは内容がまるでわからないし」
と思われるでしょうか。
この三原則を遵守し数多くの書籍に触れる
いえいえ、大丈夫。なんとなくであれば意味を汲み取ることができるはずです。
私たちは中学、高校と英語を学びます。また、大学においても外国語として英語は履修するはずなので、短くて6年間、長ければ10年間、英語を学びます。よって、その気になれば、ペーパーバックスの内容は、ある程度は理解することができます。
しかしそれでも、各所で意味不明となるかもしれません。そんな箇所は、なんとなく予想をつけて先へと読み進みます。
あくまでも多読が目的となるので、すべてを正確に日本語に訳して理解しようとはせずに、英文をそのまま受け入れるように務めるのがコツとなります。また、多少読み進んだ段階でまったく興味がわかないようであれば、別の書籍を漁るのも手ではあります。
つまり、少しでも興味を持って読み進めることができるものを選択し、それを適当に読み進めるというのがコツとなります。
「なんか随分と適当なんじゃない?」と、思われるでしょうか。しかしこれが、多読のためにむしろ必要となるコツと言えるんですね。
なお、辞書を引かなくても頻繁に出現する単語は、次第にその意味を把握することができるようになるものです。しかしどうしても知りたい単語があった場合には、限定して辞書を用いても良いかもしれません。
でもまあ、見開き2ページで1回程度と言ったルールを作成し、なるべく辞書に頼らない配慮は必要となると思われます。
多読によって効果を実感できる冊数とは
多読というからには、多くのペーパーバックスに触れる必要があるわけですが、それでは多読によってある程度の効果を実感できる冊数とはどの程度のものでしょうか。
これについては、書籍のページ数などにもよるでしょう。また、個々にリーディング能力にも差があることから一概には言い切れませんが、おおよそ100冊程度を読み込むと、ペーパーバックスに既知の単語が多くなることから、違和感なく読めるようになったり、多読の効果が実感できるようになると言われます。
「100冊かあ。結構な量だね。お金も掛かりそう」
最近では洋書は図書館でも借りることができるので、すべてを購入する必要はありません。また、図書館で借りる以外にも、多読として有効な方法があります。
ブックリーダーで英語の電子書籍を読む
ブックリーダーで電子書籍を読むメリット
ここでいうブックリーダーとは、電子書籍を読むための専用端末を言います。書籍を読むための機能に特化したタブレットであり、電子書籍はAmazonを始めとするブックストアからダウンロードして読むことが可能となります。
ブックリーダーは非常に軽量であり、しかも屋外でも紙媒体を読むのと同様に読書を楽しむことができます。また、文字フォントサイズを自由に設定することができるので、シニアに優しい端末ともいえます。
さらには、ブックリーダーには、読み進む書籍の単語をすぐに調べることができる機能も備わっています。
AmazonのKindle Unlimitedサービスを活用する
Amazonには、Kindle Unlimitedサービスという読み放題サービスが用意されています。Kindle Unlimitedサービスに対応した書籍であれば、月額980円で読み放題となります。
また、実は英文で書かれた書籍も、膨大な数に登ることから、読む書籍に不足することはありません。このため、多読には非常に優れた環境を、手軽に手にすることができるわけです。
読み放題であることから、気に食わなかったり自分に合わなければ、次の本を検索してダウンロードを繰り返すことも可能となります。その気になれば、100冊程度の書籍に触れることは難しくなく、また、そのコストも月額980円で済むことになります。
まとめ
辞書を極力使わず、わからない部分を読み飛ばすとともに、自分に合うレベルや内容の書籍を選択しながら、多読に取り組むと言った方法、ご理解いただけたでしょうか。
この方法を電子書籍で実現するのであれば、100冊をクリアするにもさほどの時間はかからないはずです。また、数多くの書籍に触れるに従って、ごく自然に自己のボキャブラリーを増やしていくことができるはずです。
シニア世代における有り余る時間の中で、ぜひともリーディング能力の向上を図っていただければと思います。近い将来、それが英文であったとしても抵抗なく、そこから様々な情報を得ることができるようになるはずです。
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